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「ナイジェリアの手紙」に騙されてしまうのはなぜか

ナイジェリアの手紙とはどんな詐欺?

詐欺というのはどこの国でもあるものですが、国際的に大きな被害を生んだ事件も存在します。
その一つが「ナイジェリアの手紙」と呼ばれるもので、世界中の多くの人が金銭的な被害を受け、日本でも多くの被害者が出たとされています。
「ナイジェリアの手紙」とあるように、ナイジェリアやその他のアフリカの国の貴族や銀行、政府などの関係者に偽装した詐欺グループが、多額の資金を移動するので手伝ってほしいと伝え、その代わりに手数料を要求するというものです。

この「ナイジェリアの手紙」は、最初は文字通り手紙で行われていたのですが、その後メールなどでも行われるようになり、世界的に広まったという経緯があります。
貧しい国の大変さを訴えて、自分の国では多額の資金を動かせないので、一度誰かの口座に移動させたいと伝えます。
そのお礼として一部を渡すと話し、そのための手数料を支払うように要求します。
手数料を支払うと、急に連絡が来なくなるという手口です。

その始まりは、アメリカの14歳の少年が行った詐欺だとされています。
新聞にナイジェリア貴族の親戚だという人物からの投稿がなされ、アメリカ人で文通をしてくれる人を探しているという内容でした。
多くの人がこの王子に手紙を送るのですが、その後わずかなお金や衣料品を送ってほしいというお願いをします。
その見返りに、宝石や象牙などをプレゼントするという約束をしています。
そこで、多くの人がお金などを送りましたが、当然そのお返しは届くことなく詐欺だと発覚するわけです。

ここから似たような手口で、メディアや手紙、メールなどを使って多くの人を巻き込む詐欺事件が次々と行われていきます。
中には、一つの国だけでなく世界の多くの国の人を相手にして手紙やメールを送り、莫大な被害を生み出した事件もあります。

騙されてしまう心理とはどんなもの?

「ナイジェリアの手紙」は一見すると、とても信じられないようなものなのですが、実際にはたくさんの人が騙されてしまいます。
そこには、「フット・イン・ザ・ドア」という心理的テクニックが利用されています。
最初とても小さな要求がなされ、それに応じてしまうと、その後になされるより大きな要求にも応じてしまうというものです。
最初に口座に資金を移動させるという要求に応じると、次の手数料を支払うという要求にも応じやすくなるわけです。

これは、他人のためにドアを開けてあげ親切を示したいという、人が本来持っている親切心を利用したものだと考えられます。
貧しい国の人を助けたいという親切な気持ちが、高額な手数料をつい支払ってしまうことにつながってしまうのです。
このように、詐欺には人間の心理をうまく突いたものが多く、当事者は最後まで気付かないことも珍しくないのです。