EC事業に大きな影響を与える法律
改正特定商取引法というのは、消費者の財産、利益を保護するために作られた法律です。
様々な形の商取引がありますが、その中でもトラブルの発生が多い、いわゆる消費者にとってリスクの高い取引形態について、そのルールを定めたのが改正特定商取引法です。
具体的には、訪問販売やマルチ商法に代表される連鎖販売取引の他に、通信販売も含まれています。
インターネットでのショッピングも通信販売に含まれますので、ECサイトは特定商取引法に該当することになります。
この法律は主に二つの分野に分かれていて、事業者が行う広告の表示について、その内容や表示方法に関する規制がその一つです。
もう一つは、消費者が購入後に契約解除、返品をするクーリングオフについてのルールです。
こうした行政規則と民事におけるルールの2本立てで、消費者の不利益を守る構成となっているわけです。
改正特定商取引法は現状に合わせて改正されることが多く、その度に関係する事業者は対応を求められます。
ECサイトは特に目立つ事業形態でもありますし、詐欺的な行為や悪質な商品・サービスが出やすいところでもあります。
そのため、改正特定商取引法の改正によってより影響を受けやすいのです。
改正特定商取引法「4つの新ルール」とは?
改正特定商取引法の改正はいくつかのポイントがありますが、オンライン取引では特に「詐欺的な定期購入商法」への規制が注目点です。
これは、サブスクサービスに関係した悪質な取引を規制するものです。
具体的なトラブルとしては、無料お試しや初回無料という宣伝になっているのに、申し込んだら無料期間に解約できず結局費用がかかるケースが該当します。
また、解約はいつでもできるとなっているのに申し込み後の解約が実質的に難しかったり、違約金が発生したりするといった事案も見られます。
そこで、4つの新しいルールが取り決められています。
申し込みの最終確認画面にて商品の詳細を表示すること、誤認させるような表示の禁止、次に解約についての真実でない告知の禁止、そして契約の取消権の設定です。
最終確認画面では、サブスクの頻度や価格、提供する商品の分量、支払期日、配送日などを表示することが義務付けられます。
誤認させる内容としては、申し込みボタンと分からずに押してしまうようなボタンの設置や、解約に条件があるのに「いつでも解約できる」といったコピーを置くことが挙げられます。
解約についての不実の告知については、解約申し込みをした時に、残りの代金を支払わないといけないといった通知をすることが禁止されます。
こうしたルールに違反している場合、消費者が誤認して申し込んでいるのであれば、その契約自体を取り消せるようになります。
これが取消権と呼ばれるものです。