集団訴訟について
集団訴訟とは、特定の相手に対して被害者が多く存在する時、個別に訴訟を起こすのではなく被害者がまとまってグループとして訴訟をする方法を指します。
その際、原告団を代表する代理人弁護士が付き、訴訟を担当することになります。
こうした集団訴訟は、さまざまなケースで実際に行われています。
たとえば、国が定めた医療制度によって健康被害を受けた人たちが賠償を求める事例があります。
また、企業が行った土地開発や提供した商品によって、人身や土地などの財産に被害が生じたというケースでも集団訴訟がなされます。
さらには、企業の中で大きな規模のパワハラや労務問題が生じた場合にも、集団訴訟によって解決することもあります。
集団訴訟のメリットとは?
こうした集団訴訟をするメリットとは、まず訴訟費用が抑えられるという点があります。
訴訟を起こすには、弁護士費用を始め高額の費用負担が生じることが多く、それが原因で訴訟をためらう人もいます。
しかし、集団訴訟となれば一人あたり数万円程度の負担となることが多いですし、時には無料で行えることもあります。
自分だけで訴訟をする場合、少なくても20万円程度はかかりますので、費用負担の差は大きいものとなります。
また、証拠が集まりやすいというメリットもあります。
個人で訴訟をする場合、基本的に証拠集めはその本人しか出てきませんが、集団訴訟となればそれぞれの異なる当事者から証拠が集まってきます。
それだけ訴訟に勝つための基盤を強く持つことができますので、有利な判決に持っていきやすいわけです。
やはり訴訟をするからには勝たないといけませんので、集団でたくさんの証拠を集めるというのは非常に重要なのです。
集団訴訟をすることによって注目を集めますので、社会的な影響も大きくなります。
個人被害者に対しては対応が良くなかった事業者も、社会的に注目されることで丁寧な対応を取るようになることもありえます。
集団訴訟のデメリット
集団訴訟をすることのデメリットとしては、より時間がかかるという点が大きいです。
個別の訴訟は数か月程度で終わることもありますが、集団訴訟となると、さまざまな証拠を集めてそれぞれの原告の主張を取り入れた裁判としなければなりません。
そのためどうしても時間がかかってしまい、最終的な判決となるまでに数年がかかるというのは珍しいことではありません。
被害を受けた分の損害賠償をすぐにしてほしいと思っても、実際にもらえるのはずっと先になってしまうのはデメリットとなります。
また、自分の思うように裁判が進まないこともあります。
やはり多くの人が裁判に関わりますし、それぞれに要望や意見がありますので、すべての人の意見に合わせるのは難しくなってしまうのです。
請求する賠償額や、加害者側に求める謝罪の内容などに納得が行かないということもありえます。